補助金|ブログ

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、新市場進出や業種・業態転換等の思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。本記事では事前着手届出の手続きを解説します。

事前着手届出とは

事業再構築補助金のスケジュールは、「応募、採択、交付決定(補助額の決定)、事業の実施、報告、補助金受給」の流れで進みます。一連の流れの中で、補助金の対象となる経費は、交付決定後の事業の実施期間に購入契約(発注)等した経費に限定されています

そのため、応募の段階で支出していた経費など、交付決定前に支出していた経費は補助を受けることができません。これは補助金を使って新事業を行う場合の最大のネックといえるでしょう。せっかく革新的な新事業を思いついても、補助金申請スケジュールと足並みをそろえるために事業開始が遅れていては、ライバル企業に先を越されかねないからです。

しかし、事業再構築補助金には、交付決定前に支出した経費を補助対象に含めることができる制度として「事前着手届出」制度が用意されています。事前着手届出が認められると、交付決定前に支出した経費を補助金の対象に含めることができるため、交付決定を待たずにスピード感をもって新事業に着手することができます。

事前着手届出の申請条件

事前着手届出の対象となる申請枠

事業再構築補助金第10回公募(令和5年6月30日締切)では、「事前着手届出」を申請できる事業者は、下記二つの申請枠で応募する事業者に限定されています。

  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

この二つの申請枠は、どちらも売上高減少要件があり、既存事業の売上高が減少していることが応募条件となっているため、早期の事業再構築が必要なことから事前着手届出の対象とされています。

その他の申請枠については事前着手届出の対象外のため、新事業に係る契約や発注等は、通常どおり交付決定通知書を受け取ったあとに行う必要があります。

事前着手届出によって対象となる経費

事業再構築補助金第10回公募(令和5年6月30日締切)では、事前着手届出が受理された場合、令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った経費も補助対象経費とすることができます。

事前着手届出の記載内容

事前着手届出には以下の内容を記載します。後述のとおり、手続きは交付決定日までに行えばよいので、まずは本編の事業計画書を作成し、そちらから抜粋して記載するとスムーズでしょう。

  • 会社概要
  • 従業員規模
  • 会社ホームページ(ある場合)
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業の概要
  • 事業計画の概要
  • 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響
  • 事業開始が遅れた場合に生じ得る影響

(出典:[第10回]事前着手届出システム操作マニュアル https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/jizenchakushu_manual010.pdf)

事前着手届出の手続き方法

手続きは電子申請です。事前着手届出は交付決定日までに、jGrantsを通して届出を提出します。

事前着手届出の受理通知

事前着手届出の申請から10日~2週間程度を目安に通知がなされます。

事前着手届出の注意

事前着手届出が受理されたとしても、不採択となった場合は補助金の交付を受けることができません。また、届出内容が認められず事前着手届出が受理されなかった場合は、交付決定前に支出した経費は補助金の交付対象とはなりません。

まとめ

事業再構築補助金第10回公募(令和5年6月30日締切)では、最低賃金枠と物価高騰対策・回復再生応援枠は事前着手届出を使うことができます。二つの枠で申請する場合は、ぜひ事前着手制度も視野に入れて補助金の活用を検討しましょう。申請回によってルールが変わる部分ですので、最新情報の確認を忘れずに。