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事業再構築補助金を申請し、採択されたら交付申請に進みます。本記事は事業再構築補助金の交付申請における見積書の注意点について解説します。

事業再構築補助金の交付申請とは

交付申請とは、採択発表後に行う補助金額を確定させる手続きです。必要書類を提出する事務作業ではありますが、事業計画と整合性が取れていることはもちろん、申請ルールが細かく定められており、審査基準を満たさない書類は再提出を求められるなどして工数を取られますので、注意点を解説します。

事業再構築補助金の全体の流れは以下のとおり。採択発表後に交付申請し、交付決定後に補助事業(新事業)を開始します。

事業再構築補助金の流れ

事業再構築補助金の交付申請における見積書の注意点

すべての経費に見積書が必要

交付申請では、計上するすべての補助対象経費について見積書が必要です。

見積書の有効期限切れに注意

交付申請日時点で有効な見積書であること

事業再構築補助金の応募から採択結果発表までは2か月以上かかるため、事業計画作成時に見積書を取っていたとしても、交付申請の段階では有効期限が切れていることが多いです。交付申請日時点で有効期限が切れている見積書は再提出を求められますので、見積書に有効期限がある場合は交付申請日時点で有効かどうかを確認しましょう。

注文日時点でも有効な見積書であること

交付申請においては交付申請日に有効な見積書であれば問題ありませんが、のちの実績報告の際には注文日時点で有効な見積書であったかどうかを確認されます。注文日時点で見積書の有効期限が切れていると再提出を求められますので、見積書の有効期限は交付申請日ぎりぎりではなく3か月~半年ほど余裕のあるものを取得しておくことをおすすめします。

交付申請の審査期間はどれくらい?

交付申請の審査期間は大体1か月ほどですが、不備や指摘事項があると審査期間は延びていきます。

交付申請以降に提出する見積書等の経理関連書類は、日付の整合性が重要です。見積依頼日、見積発行日、注文日・・・と下図の流れで進める必要があり、見積書の商品やサービスを実際に注文できるのは「交付決定後」となります。

交付決定後、いざ注文するときに「見積書の有効期限が切れていた」とならないためにも見積書の有効期限には余裕がほしいところです。

交付申請には1か月から2か月かかります

諸経費は内訳を記載する

建物費、機械装置・システム構築費等の見積書内に「諸経費」、「一般管理費」、「現場管理費」、「雑費」等の記載がある場合は、諸経費の内訳(金額含む)の記載が必要です。内訳の記載がない場合は、使途不明のため補助対象となりません。

補助対象外の経費は明記する

見積書内に補助対象外の経費が含まれる場合は、どの経費が補助対象外であるか見積書内に明記します。手書きでも問題ありません。なお、交付申請書の経費明細表には、補助対象外である経費も記載します。

専門家経費が謝金単価を超える場合は複数の見積書を用意

専門家経費が公募要領記載の謝金単価を超える場合は、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書の提出が必要です。また、専門家の旅費を計上する場合は行程表の詳細(スケジュール、移動方法、交通費等がわかるもの)を提出します。

公募要領記載の謝金単価(税抜き)

・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
・准教授、技術士、中小企業診断士、IT コーディネータ等:1日4万円以下
・その他:1日2万円以下

すべての見積書に見積依頼書をつけること

見積依頼書は補助金独自の書類で、第三回公募から追加されました。経費科目に関わらず、すべての見積書について物件等の仕様や要件を記載した見積依頼書が必要です。必ずしも発注先にそれを渡さなければならないわけではありません。見積依頼書を作成して見積書とあわせて提出しましょう。

見積依頼書はこちらからダウンロードできます。

見積依頼書

事業再構築補助金の交付申請における相見積書の注意点

相見積書が必要な3つのケース

事業再構築補助金で相見積書を用意するのは①建物費、②税抜き50万円以上の見積書、③中古品の3つです。なお、事前着手届出が受理された場合も見積依頼書、見積書、相見積書は必要です。

① 建物費

リフォームなどの建物費を計上する場合は相見積書を提出します。加えて、設計図書、配置図、(改修の場合)見取り図等も用意する必要があります。

② 税抜き50万円以上の見積書

発注先1社あたりの見積額(合計)が税抜き50万円以上の場合は、費目に関わらず3社以上の相見積書を用意します。

③ 中古品

中古品を購入する場合は、製造年月日、性能が同程度の中古品の3社以上の相見積書が必要です。型式や年式の記載が必須です。

中古品については、型式や年式がまったく同じものを見つけることが困難であることに加えて、売れると見積書が失効してしまうため、新品に比べて有効な相見積書を用意するハードルが高く注意が必要です

相見積書は見積書と同一内容で取得すること

相見積書は指摘を受けやすく、指摘事項に該当した場合は見積書と見積依頼書の再提出を求められることがあります。よくある指摘事項を2つ紹介します。

・【NG】項目名が一致していない

たとえ同じ工事を示しているとしても、項目名が異なる場合はNGです。

項目名が一致していない

・【NG】項目内容や項目数が一致していない

大項目、中項目、小項目がある場合、それぞれの名称や項目の分け方が一致している必要があります。図では、一方は仮設工事と解体工事を分けて記載していますが、もう一方は仮設工事としてひとまとめにしているためNGです。会社ごとに項目の表記の仕方が異なることはよくありますので、気を付けましょう。

項目内容や項目数が一致していない

また、販売元が運営するオンラインサイト、Amazon、楽天市場等、複数のWebサイトで同一商品を販売しているケースがありますが、Webサイトが異なるだけで販売元が同じ場合は相見積書としては認められません。

なお、独占販売権などにより販売元が限られているなど、合理的な理由により相見積書を取得できない場合は、「業者選定理由書」を提出します。

事業再構築補助金で「業者選定理由書」を用意するケース

業者選定理由書は、相見積書を取得できない場合に選定企業を選定する妥当性を示すための文書です。

例えば、「選定企業が〇〇の商品(技術等)の特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権などの知的財産権または独占販売権を保有しているため」等の理由を記載します。過去の事例で、価格が安い、アフターフォローが充実している、という理由で否認されたことがあります。業者選定理由書は厳しく審査されるため、どうしても他社の取扱いがないケース以外は相見積書を提出しましょう。

業種選定理由書はこちらからダウンロードできます。

交付申請は必ず手引きを確認して行いましょう

交付申請には数多くのルールがありますので、必ず手引きを確認してから書類を準備しましょう。不備があると再提出を求められますが、不備が多いほど交付申請期間が長引きます。とはいえ、手引きにも記載されていない指摘もありますので、事務局とのやりとりの中で完了させるイメージを持っておくとよいでしょう。

補助金を活用することで経費をおさえて新事業に取り組み、既存事業の停滞を乗り越えて業績を伸ばしている会社も多くあります。設備投資は補助金を活用するチャンスです。補助金の申請要件を満たすかどうか無料診断を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

(参考)
"中小企業等事業再構築促進補助金【補助事業の手引き】1.5 版".事業再構築補助金事務局.令和5年6月

"第1回~第5回採択事業者向け交付申請にあたってご注意いただくこと1.5版".事業再構築補助金事務局