本記事では事業再構築補助金の事業類型である「産業構造転換枠」について解説します。
産業構造転換枠
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援します。
産業構造転換枠の対象となる事業者
成長枠は「市場規模が10%以上拡大する業種・業態」が対象であったのに対し、産業構造転換枠は「市場規模が10%以上縮小する業種・業態」が対象です。過去から今後の動向から市場規模の縮小が見込まれるため、他の業種・業態への転換の必要性が高い事業者を対象としています。
必須要件
- 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認(補助額3,000万円を超える場合は金融機関も含む)を受けること
- 補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
- 現在の主たる事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転換すること
市場規模が10%以上縮小する業種・業態
市場規模が10%以上縮小する業種・業態は「産業構造転換枠の対象となる業種・業態の一覧」に掲載されています。2023年4月時点では、出版業と粘土かわら製造業が挙げられています。
リストにない業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たすことを証明するデータを提出し、認められた場合には対象となる場合があります。市場規模が縮小しているかどうかは過去~今度のいずれか10年間のトレンドを見ますが、コロナによる特異的な影響を除外するため、過去10年のトレンドを見る場合は原則コロナ前である2019年までの期間を見る必要があります。
また、市場規模が縮小する業種・業態のほかにも、地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占める場合も対象となります。「産業構造転換枠の対象となる地域の一覧」に掲載されています。2023年4月時点では、呉市、有田市、名寄市が挙げられています。
例えば、広島県呉市にある日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区ではかつて約三千人が働いていましたが、昨年秋時点で従業員は半数に減り、2023年9月末には閉鎖が予定されています。
補助金額
従業員規模 | 補助上限* | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 2,000万円 | 中小企業 2/3 中堅企業 1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | |
51~100人 | 5,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 |
※廃業を伴う場合には、補助上限額が最大2,000万円上乗せされます。
補助事業実施期間
交付決定日~12 か月以内
市場規模縮小に伴う新事業展開にぜひ活用を
既存事業が産業構造転換枠に該当する場合は産業構造転換枠が活用できますので、新事業とあわせての検討をおすすめします。当社では認定経営革新等支援機関として事業計画の作成支援を行っていますので、お気軽にお問い合わせください。