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新しく会社を設立し、社会保険への加入を検討しているものの、条件や手続き、必要書類など、具体的な加入方法についてはよく分からない企業担当者もいるでしょう。本記事では、そのような人々に向けて、社会保険の新規適用の方法について解説します。なお、社会保険は厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労働者災害補償保険の5つが含まれていますが、本記事では厚生年金保険と健康保険について取り上げます。

社会保険加入の条件を知ろう

そもそも社会保険の加入形態には「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2つがあります。前者は事業所の意志に関係なく、厚生年金保険や健康保険に加入することが義務付けられていて、後者は加入義務はありません。どちらに当てはまるのかについては、法人なのか個人事業主なのかによって、また、個人事業主の場合は適用業種であるかどうかと、従業員の人数によって異なります。具体的には、法人の場合は従業員数に関係なく強制適用事業所に当てはまる一方、個人事業主で、かつ、使用している従業員が5名未満の場合は業種に関わらず、任意適用事業所に当てはまるでしょう。

しかし、個人事業主でも、適用業種で従業員が5名以上であれば強制適用事業所に区分されるため、注意が必要です。非適用業種には、農業や漁業、鉱業といった第一次産業や飲食店や旅館業などのサービス業をはじめ、警備業や政治・経済・文化団体、宗教業などが含まれています(2022年に士業について改正予定あり)。自社の業務がどちらの業種に区分されているかについては、厚生労働省のホームページで確認できるため、加入前に参照するとよいでしょう。

なお、任意適用事業所であっても、従業員の半数以上が適用事業所となることに同意していて、かつ、日本年金機構の許可を得れば社会保険に加入することが可能です。任意適用事業所が厚生年金保険等の適用事業所として認定を受けた場合は、従業員全員が加入しなくてはいけません。

社会保険加入の新規手続きとは

社会保険に新規加入する場合は、強制適用事業所であれば会社を設立してから5日以内、任意適用事業所であれば従業員の半数以上の同意を得てから速やかに書類を提出する必要があります。5日以内に提出できない場合でも受理してもらえますが、会社設立から60日を超えて届け出る場合は賃金台帳や出勤簿など、以下で説明する必要書類に加えて提出しなくてはいけない書類があるため、気を付けなくてはいけません。提出先は、会社の所在地を管轄する年金事務所です。なお、事業をおこなう事業所の所在地が登記上と異なる場合は、事業をおこなう事業所を管轄する年金事務所に届けましょう。

提出方法は、電子申請もしくは、郵送、窓口持参と定められています。提出書類は、健康保険・厚生年金保険新規適用届をはじめ、被保険者資格取得届、被保険者に扶養家族がいる場合は被扶養者(異動)届です。これらの届出書は管轄の年金事務所でもらうか、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。法人の場合は法人(商業)登記簿謄本の原本、個人事業主の場合は事業主の世帯全員の住民票の原本も併せて提出しましょう。これら原本は、直近状態の確認が必要であるため、提出日から遡及して90日以内に発行されたものに限られています。

また、事業所の所在地が登記上の所在地と異なる場合は、法人であっても個人事業主であっても賃貸借契約書の写しなど、その場所で事業をおこなっていることが証明できる書類を提出しなくてはいけません。なお、任意適用事業所は、任意適用申請書をはじめ、従業員の任意適用同意書、事業主世帯全員の住民票(原本)、公租公課の領収証1年分の提出が必要です。各書類の書き方については、日本年金機構のホームページを参考にしてみてください。

手続き後の流れ

必要書類の提出をして手続きを終えると、1~2週間程度で適用通知書と、資格取得確認及び標準報酬決定通知書が送付されます。適用通知書には、今後の手続きに必要な事業所整理番号や事業所番号が記載されているため、しっかり保管することが大切です。また、資格取得確認及び標準報酬決定通知書を見て、毎月給与から天引きする社会保険料の金額確認もおこないましょう。ちなみに、通常、社会保険料は毎月の支払いになりますが、口座振替にすることも可能です。

その場合は別途、保険料口座振替納付申出書を年金事務所で受け取り、口座振替をする金融機関で確認印をもらってから、管轄の年金事務所に提出する必要があります。申込書自体は管轄の年金事務所以外で受け取っても問題ありません。

注意事項に気を付けながら、社会保険加入の手続きをおこなおう

新しく事業を始めた場合、特に法人であれば社会保険の強制適用事業所に当てはまるため、社会保険への加入をしなくてはいけません。個人事業主の場合は適用業種かどうかによって異なるため、自社が当てはまるかの確認が必要です。社会保険加入の手続きは自分でおこなうか、専門家に依頼する方法があります。自分でおこなう場合は、本記事で紹介した必要書類などを参考に、注意事項に気を付けながら提出しましょう。