本記事では事業再構築補助金の事業類型である「大規模賃金引上枠」と「卒業促進枠」について解説します。これらの事業類型は成長枠またはグリーン成長枠の上乗せ枠であり、成長枠またはグリーン成長枠を申請する事業者が、要件を満たした際に併用することで補助金額が上乗せされます。
大規模賃金引上促進枠 ※上乗せ枠
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対し、補助金額が上乗せされます。卒業促進枠との併用はできません。
大規模賃金引上促進枠の対象となる事業者
- 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後３～５年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後３～５年の間に、従業員数を年率平均1.5％以上（最低事業計画期間×1人の増員が必要）増員させること
補助金額
| 補助金額 | 中小企業の補助率 |
|---|---|
| 3,000万円 | 中小企業 1/2 中堅企業 1/3 |
（参考）大規模な賃上げを行う場合
成長枠およびグリーン成長枠は大規模な賃上げを行う場合に補助率が引き上げられます。どちらも賃上げを対象としていますが、大規模賃金引上促進枠は補助事業終了後３～５年の間に賃上げするのに対し、大規模な賃上げを行う場合は補助事業期間内に賃上げすることが要件となっています。補助率の引き上げが適用される大規模な賃上げを行う場合の要件は以下のとおりです。
下記のいずれも満たすこと
- 補助事業期間内に給与支給総額を年平均 6％以上増加させること
- 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること
補助対象経費
成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費に準じます。ただし、大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、大規模賃金引上促進枠と成長枠またはグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。
卒業促進枠 ※上乗せ枠
成長枠またはグリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対し、補助上限額を２倍に引き上げます。大規模賃金引上促進枠との併用はできません。
- 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後３～５年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること
| 補助金額 | 補助率 |
|---|---|
| 成長枠またはグリーン成長枠の補助金額上限に準じる | 中小企業 1/2 中堅企業 1/3 |
（参考）成長枠とグリーン成長枠の補助金額上限は下表のとおりです。
| 従業員規模 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 20人以下 | 2,000万円 | 中小企業 1/2（*2/3） 中堅企業 1/3（* 1/2） |
| 21～50人 | 4,000万円 | |
| 51～100人 | 5,000万円 | |
| 101人以上 | 7,000万円 |
| 従業員規模 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 中小企業 20人以下 | 4,000万円 | 1/2（* 2/3） |
| 中小企業 21～50人以下 | 6,000万円 | |
| 中小企業 51人以上 | 8,000万円 | |
| 中堅企業 | 1億円 |
補助対象経費
成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じます。
ただし、大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、大規模賃金引上促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。
成長枠またはグリーン成長枠とあわせて検討を
成長枠またはグリーン成長枠と併用することで補助上限が引き上げられますので、補助金額が不足する場合には大規模賃金引上枠や卒業促進枠の要件も確認されてはいかがでしょうか。当社では認定経営革新等支援機関として事業計画の作成支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。
